2025/05/31
PCメーカー”acer”が本気で挑んだ次世代E-bike!
台湾・台北市の郊外、スタイリッシュなガラス張りのビルに本社を構えるPCメーカーの雄「acer」。これまでITデバイスの世界で確かな存在感を発揮してきた同社が、いま自転車業界にも“風穴”を開けようとしている──3月に開催されたTaipei Cycleでその動向をキャッチしていたけんたさんとツッチー。今回は自転車旅ではないが、新しい技術をDiscover(発見)するという旅として、現地に足を運んだ。
自転車旅ではなく、技術をDiscoverする旅
台湾・台北の「acer本社」を訪問!
実はこの世界160以上の国と地域で展開するグローバルIT企業が、最新AI搭載E-bike「ebii」と、ゲーミングブランドから誕生した電動バイク「PREDATOR」を開発しているということで、取材に行ってきました。
本社の1階にあるショールームを訪問!
最新PCやゲーミングギアに加え、注目のAI搭載E-bike「ebii」や「PREDATOR」シリーズも展示がされているとのこと。
まずは“本業”の底力に触れる
ショールームではまず、「PREDATOR」などのゲーミングPCをチェック。
湾曲したスーパーワイドモニターや高性能デバイスが並ぶ空間は、まさにゲームの世界そのもの。自転車を見る前に、acerの“本業”であるテクノロジーの底力をしっかりと体感できた。とくにこのモニターは没入感が圧倒的で、思わずプレイに夢中になってしまいそうになる。
こちらは、3D表示対応のモニターを使ったゲーム筐体で『ストリートファイター6』をプレイ。裸眼で立体的に映る映像に思わずのめり込んでしまうけんたさん…
ちなみに、PCメーカーのイメージが強いacerですが、実は生活家電も多数展開!
ショールームには、掃除機や扇風機、ドライヤー、さらにはエアフライヤーまでずらり。
革新性を証明する「台湾エクセレンス」受賞
ショールーム奥に進むと、ついに本題のE-bikeと対面。
AI搭載のスマートバイク「ebii」と、ゲーミングブランド「PREDATOR」の迫力あるモデルと。未来感あふれるその佇まいに見入ってしまい、取材であることを一瞬忘れそうになる場面も。
AI搭載のスマートバイク「ebii」は、優れたデザインと機能性が評価され「台湾エクセレンス」を受賞。台湾エクセレンスとは、台湾政府が革新性・品質・デザイン・マーケティングの観点から選出する栄誉ある賞。
その名にふさわしい、次世代E-bikeとしての存在感を放っていた。
簡単に「ebii」の特徴を紹介しよう。
「ebii(イービー)」は、acerが開発した次世代型スマートE-bike。AIによる走行制御を搭載し、ライダーの走行スタイルや路面状況に応じてアシストレベルを自動調整してくれる。バッテリーやコントローラーを一体化したフレーム設計により、スタイリッシュかつ軽量なボディを実現。また、スマホ連携による盗難防止機能や走行ログ管理にも対応し、都市生活に最適な機能性を備えている。
フレーム一体型のバッテリーとコントローラーを採用した。
直線的でミニマルなデザインが特徴で、無駄をそぎ落とした洗練された印象。
フロントフォークは片持ち式を採用し、軽量化とメンテナンス性を両立。
タイヤには「AIR FOM」システムを採用。空気を使わないエアレスタイプで、パンクの心配がなく安心。街乗りや通勤にも最適な高耐久仕様。
前後輪にディスクブレーキを採用することで、ebiiは高い制動力と安定したブレーキ性能を実現。都市部の走行でも安心してスピードコントロールが可能だ。
ドライブにはチェーンではなくベルトドライブを採用。錆びにくく、注油不要でメンテナンスも簡単。静音性にも優れ、街乗りとの相性も抜群。
無駄をそぎ落としたシンプルなハンドルまわり。一体型のステムと最小限の操作系で、スタイリッシュかつ直感的な操作性を実現。
サドル下には後方センサーを搭載。後続車の接近を検知し、ライダーに警告を行うことで追突リスクを軽減し安全性にも配慮している。
自転車の施錠・開錠からアシストモードの切り替えまで、すべてスマホアプリで操作可能。
ebiiの状態もリアルタイムで確認できるスマート連携仕様。
フレーム下部にはカラー変更が可能なLEDライトを内蔵。視認性を高めるだけでなく、スマホで色の設定も自在。走行シーンに応じて個性を演出できる装備。
ebiiにはAIによる学習機能が搭載されており、ライダーの走行スタイルや路面状況をリアルタイムで分析。走るほどに好みに最適化され、より快適な走行体験へと進化していく。
さらに、目的地までのルートに応じて、バッテリー消費を考慮したおすすめのアシストレベルも自動で提案してくれる。
実際にacerの敷地内で試乗してみる。AIは学習型のため前述の通り、本領発揮までは少し時間がかかるが、走り出しの軽やかさや滑らかなアシストはすぐに実感できる。
ハンドル中央にはLEDディスプレイを内蔵。走行中は現在のスピードが数字で表示され、視認性も良好。シンプルながら必要な情報をしっかり伝えてくれる。
今回は短時間の試乗だったが、滑らかなアシストと直感的な操作性からは、ebiiの完成度の高さがしっかりと伝わってきた。AIが学習して最適化していくという特性もあり、ぜひ日常生活の中でじっくり性能を試してみたい1台。都市型スマートバイクとしての可能性を大きく感じさせてくれる存在だ。
ゲーミング魂を受け継ぐタフネスE-bike
続いて紹介するのは、acerのゲーミングブランド「PREDATOR」から誕生したE-bike。見た目はもはやオートバイそのもので、極太のファットタイヤにロングシート、迫力あるフレーム構造が特徴。
オートバイを彷彿とさせるアップハンドルに加え、存在感ある丸型LEDヘッドライトを装備。夜間の視認性を確保しながら、無骨なスタイルを際立たせるフロントまわり。
PREDATORのE-bikeを前に、けんたさんも思わず夢中で撮影。
独特なフォルムと存在感に、カメラを向けずにはいられないインパクト。
こちらはブラウンシートやフロントラック、サイドバッグを装備したカスタムモデル。アウトドアシーンにも映えるミリタリーテイストの一台。
フロントラックには3灯のフォグランプを追加装備。アウトドアやナイトライドでも安心感を高めるカスタム仕様に。
リアフレームには、台湾ワッペン付きのミリタリーポーチを装着。アウトドアギア風のアレンジが個性と機能性を両立。
ディスクカバー付きのホイールに、より長く設計されたロングシートを採用。見た目のインパクトと実用性を両立させた、PREDATORベースの別のカスタマイズモデルもご紹介。
標準タイプとは異なり、ヘッドライトを取り外してカーボン調のプレートを装着。フロントサスペンションはより長く設計され、走破性と存在感を強化したスタイルに。
バッテリーの位置をシート下へ移動。フレーム中央には実用性を兼ね備えた荷物スペースに変更。
ディスクカバーで覆われたリアホイールに太めのタイヤを装着。チェーン駆動でありながら、もはや一目で自転車とは思えないスタイリング。
PREDATORにも試乗。重厚な見た目に反してスムーズな乗り心地で、非常にパワフルなモーターによる力強いアシストを実感。最先端のE-Systemを搭載し、80Nmのトルクを発揮する750Wのリアハブモーターによって、上り坂でも楽々と走りきることができた。
ダルとスロットルボタンでパワーを自在に調整できるのがPREDATORの特長。状況に応じて消費電力を最適化したり、フルパワーで加速したりと柔軟に対応できる。ペダルでの走行はもちろん、スロットルボタン(写真の赤印部分)を押せば、瞬時にフルパワーでの走行が可能だ。なお、日本国内の道路交通法(2025年5月時点)では、スロットルボタン付きのE-bikeは公道走行が認められていないが、今後の法整備次第では、こうした先進的な機構が日本でも活躍する日が訪れるかもしれない。
PREDATORの圧倒的なモーターアシストに大興奮のけんたさん。acerの敷地内にある坂道を、何度も往復してそのパワーを存分に楽しんでいた。
異なる個性が光る、2台のスマートE-BIKEを体感
今回はスタイリッシュで都市向けの「ebii」と、圧倒的なパワーと存在感を誇る「PREDATOR」、まったく異なる個性を持つ2台を試乗。それぞれの魅力をしっかり体感できた。「ebii」はAIによる自然なアシストが心地よく、街乗りにぴったりのスマートなE-bike。「PREDATOR」はまさにオートバイ級の力強さで、坂道でも楽々走破できるモンスター仕様。日々進化するE-bikeの世界において、パソコンメーカーとしての技術力とノウハウを惜しみなく注いだacerの挑戦は、今後の展開にも大いに期待が持てる。
【ebii|基本スペック】
・モーター出力:250W(リアハブモーター)
・最高速度:25km/h(欧州規格準拠)
・バッテリー容量:460Wh(着脱式)
→約2.5時間でフル充電が可能
・最大航続距離:約110km(条件により変動)
・重量:約16kg(バッテリー含む)
・タイヤサイズ:20インチ(AIR FŌMエアレスタイヤ)
・駆動方式:ベルトドライブ
・アシスト制御:AI学習型スマートアシスト
→走行スタイルや路面を学習し、アシストを自動最適化
・ディスプレイ:LED表示(速度や状態を視認)
・スマート機能:専用アプリ連携
→バッテリー残量、ロック操作、位置情報、走行ログ、アシスト切替
・安全機能:前後ライト、後方センサー(接近通知)、自動ロック
・その他特徴:都市部向けのスタイリッシュデザインと軽量性が魅力
【PREDATOR eNomad-R|基本スペック】
・フレームサイズ:ワンサイズ(適応身長:150〜195cm)
・モーター出力:750W(リアハブモーター)
・最大トルク:80Nm
・最高速度:約45km/h(スロットル使用時/法規制により変動)
・変速機:SHIMANO CUES
・アシスト機構:ペダルアシスト+スロットル
※日本国内では公道走行不可(2025年5月時点)
・バッテリー容量:48V 960Wh リチウムイオン(着脱式)
・最大航続距離:約100km(アシストモードによる)
・重量:約37kg(フル装備状態)
・タイヤサイズ:20×4.0インチ ファットタイヤ
・駆動方式:チェーンドライブ
・ブレーキ:前後油圧ディスクブレーキ
・サスペンション:フロント・リア ダブルサスペンション
・ディスプレイ:LEDディスプレイ(速度・バッテリー残量など表示)
・操作系:スロットルボタン、モード切替スイッチ
・スマート機能:USBポート搭載、IPX5防水仕様
・安全機能:高輝度LEDヘッドライト、頑丈な車体構造
・その他特徴:長尺シート、前後キャリア、ミリタリーテイストの外観でアウトドアにも対応