2024/04/15
みんなで走ろう!Ride Together 2024 参加レポート!(TAIPEI CYCLE 2024)
アジア最大の自転車展示会、「TAIPEI CYCLE 2024」の関連イベントで、展示会関係者のみのライドイベント「Ride Together」が今年も開催されました。
なんと、光栄なことに今年の「Ride Together 2024」のキービジュアルのモデルはけんたさんとツッチー。
今年もDiscover Rideは メディアとして、世界中のライダーと一緒に、台北から東部の福隆を目指す約75kmのChallengeコースライドを楽しんできました。
本レポートではその時の様子をご紹介いたします!
早朝、TAIPEI CYCLEの展示会場のTaiNEX前に集合。
サイクルショーでも出展していた台湾のイケてる自転車メーカーTRIGONの最新ハイエンドモデルをお借りすることができました。
無理をしたくないライダーのためのE-Bikeも準備万端。
(↑E-Bikeの試し乗りさせてもらっているツッチー、うれしそうです)
ヒルクライムをはさみながら、獲得標高1000mアップ、福隆を通って灯台がある台湾最東の岬まで行く約75km程度の行程。
ブースに展示されていた実車の乗り心地を1日のライドの中で体験できるのはなんともわくわく。
参加者は日本人の他にも、オランダやドイツ、シンガポールからも集まり、国際色豊か。
「本日の気候は台湾にしては低めの11~16℃くらい。走り始めに本日一番の難所のヒルクライムがあるので体を温めながら楽しみましょう!」
ライドのリーダーを務めるのは台湾一周1000kmの旅で苦楽を共にした我らがサムさん。
自己紹介をし、記念撮影をしたら、さっそく市内から郊外に向かってライドスタートです。
台湾は自転車とバイク用にしっかり専用レーンをとってありますが、やはり市街地は交通量が多め。隊列を組んで走りながら、エキサイティングな熱気あふれる雰囲気の中をライドします。
郊外に入ると少しづつ車の往来も減り、余裕が出てきました。
まもなく、隊列は一番の難所、10km・約350mほどのヒルクライムに突入します。
しかもほとんど途中休憩がなく、最後残り2kmのところで待っているエイドまで一気に駆け上がらなければいけません。
途中リーダーのサムさんを振り切って一番にエイドにたどり着いたのはオランダのUCI選手。
次々とライダーが到着します。
エイドではサポートカーが先回りして到着し、温かいコーヒーや飲み物、小さなお菓子や果物が準備されていました。
日本のライダー達がこぞって感動したのは薄い緑色のプラムほどの大きさの果物。
「棗(台湾蜜棗)」と呼ばれるこの食べ物は、リンゴのようなパリッとした皮の内側に梨のような歯触り。甘い香りとジューシーな果汁がたっぷりふくまれています。
小さな種が一つあるだけで、片手に収まる大きさで手を汚さず食べられる便利さもライドにピッタリ。
このあたりはお茶の産地としても有名。生産されるお茶は半発酵茶といわれるタイプで、香りがよくマイルドな口当たりが特徴(日本の緑茶は不発酵茶、紅茶は発酵茶です)。
エイドの先にはこの地域のお茶の文化に触れられる施設「南港茶葉製造示範場」もあるのだそう。
台北のモニュメント台北101と街並みを見下ろしリフレッシュ。
あと少し坂を登ったら、その次はしばらくダウンヒル。
今日は台湾でも異例の寒さのため、上着は必須です。
坂を降りきってまもなく「菁桐」と呼ばれる小さな街に到着。
このエリアは、日本統治下の1900年代に石炭が発見され、炭鉱採掘で栄えた町。
石炭の運搬のために平渓線が敷設されました。
炭鉱自体は1970年以降、安い海外製の石炭に替わり、閉山。今は日本と台湾の歴史と文化がまじりあったノスタルジックな雰囲気が人気の観光地として栄えています。
この日本建築も、炭鉱町だった当時にゲストハウスとして建てられたもの。現在は当時の古美術に囲まれながらお茶を楽しめる美術館となっています。
Ride Together 一行がまず向かったのは平渓線の始発駅である菁桐駅。ここから三貂嶺駅まで30㎞、7駅が連なっています。
ちょうど車両がホームにとまっていました。
のんびりと走るローカル線は、なんと線路の中まで立ち入りが可能。
多くの人でにぎわっています。
この街を訪れる観光客の楽しみは、この平渓線とランタン飛ばし。
ランタンは、2000年前に中国大陸で主に軍事通信用として発明されたのが始まりですが、山に囲まれたこの街では、たびたび襲来する盗賊の脅威が去ったことを、難を逃れて山中へ隠れた家族や親戚に伝えるために使われました。
Ride Togetherでもこの大きなランタンに願い事を書き、灯をともしてとばすことに。
まずはここから4駅先の十分駅まで向かいます。
ライド中も山合いのあちこちで、空を飛ぶカラフルなランタンを見つけました。
ちなみに再利用を目的に、落ちたランタンを拾うとお金に交換できるリサイクルシステムがあるのだそう。
ランタンが飛ばせるレストラン「平渓十分 楼仔厝咖啡民宿」に到着しました。今日はここでランチです。
お店に入ると、ランタン飛ばしの準備がされていました。
ランタンの側面の色は金運(黄)・健康運(白)・仕事運(青)・恋愛運(赤)など、色によってお願いの種類をあらわしています。
広げた色面にそれぞれのお願いを筆でしたためます。
アジア人にとっては比較的なじみがある筆でのライティング、欧米のライダーには新鮮な経験だった様子。
ランタンの燃料は油をしみこませたお金を模したもの。
ランタンの内側の骨組みにさしはさまっています。
火をつけるとランタンはふわふわと膨らみ、あっという間に空高く上がっていきます。
山間にはたくさんのランタンが飛んでいますが、火が外側に燃え移って傾くランタンもありました。
「火が移ったランタンの願いは叶わなくなるの?」と聞くと「むしろ、盛大に燃え上がるランタンは吉報だよ。」どうなってもポジティブに受け取るのが台湾の人のやり方なのだそうです。
無事ランタン飛ばしが成功したので、お店に入ってお昼ご飯となりました。
レトロな雰囲気あふれる店内、温かい鍋でエネルギーをチャージ。
お腹も満たされ、次のポイントに向かって走り始めます。
ここからは比較的フラットコース、まもなく一行は福隆へ。
福隆は使わなくなった旧路線をサイクリングロードとしてリノベーションされ、週末のポタリングに人気のエリア。たくさんのレンタルバイク店が軒を連ねています。
ここでもE-Bikeは人気です。
タンデム(+チャルルドシート付き!)のE-Bikeも見つけました。
Discoverライドでもおなじみ、福隆旧草嶺トンネルに入ります。
トンネルの中で台北市から新北市の市境を抜け、海に浮かぶ亀山島が見えるポイントで小休止。
ここから100km先には日本最南端の与那国島が位置します。
さらにライドをすすめ、最後の景観地、最東端三貂角灯台へ。
灯台は丘の上にあり、ここから最後の(そして最もきつい)上り坂が待ち構えています。
歯を食いしばって登っていると、坂の途中から徐々にピンク色の建物が増えてきます。
これは少しクラシックなスタイルのお墓。恵方に向かって建てられているのだそう。
最後の力で登りきってすべての難所をクリアし、灯台のたもとに到着してやっと一息つくことができました。
参加者同士健闘をたたえつつ、お互い今日乗ってきた自転車の乗り心地に花を咲かせます。
トップで登り切ったUCIライダーの自転車はなんと25年前のGIANTのフレーム。
「僕はレンタルの自転車で参加したよ。クオリティをキープして、新品と同じくらいのパフォーマンスを出せるようにメンテナンスされている(Refurbished)自転車を借りれたんだ。どんな自転車でも、パワーがしっかり出せていれさえすれば、とてもよいトレーニングになるよ」と話す彼。
聞けば、彼は自転車を通じた環境の改善に取り組むスタートアップ企業「Circular Cycling」創設者、兼「From Marginal Gains to a Circular Revolution(マージナル・ゲインから循環革命へ)」著者、Erik Bronsvoortさん。
ご自身の活動を通じて、自転車関連企業のビジネスモデルをより持続可能な形態に改善する開発サポートをしているそう。
今回のTAIPEI CYCLEではサステナブルに着目した製品やサービスがたくさん出ていましたが、間違いなくその時流を作り上げ、押し上げている立役者の1人。
さぞや忙しい日々を送っていることと想像できますが、週5日自転車練習に加え、ヨガやウェイトトレーニングを欠かさず、このライドもトレーニングの一環だとのこと。
「ハードだった?」と聞くと「手ごたえのある坂がいくつかあったけれど、全体を通して楽しいライドだったよ!」となんだか余裕そう!
シンガポールからのライダーにも「シンガポールでの自転車事情ってどんな風ですか?」と聞くと、「シンガポールって車を持つのにすごくお金がかかるんだ。だから自転車はとても普及しているし、自転車も高い値段でよく売れてるよ。そんなに大きな国ではないから、ライドするならシンガポールから出発してインドネシアやマレーシアにライドまで行くのも人気だね。」と教えてくれました。
他にも、一番気に入ったエイドのおやつをお互い紹介しあったり、あと少しでフィニッシュするなんて寂しいね、と言いあいながら最後の休憩を楽しみます。
岬に打ち寄せる波は南の島ならではのクリアなブルーが見え隠れ。
晴れていればさらに素晴らしい景色が見えたはず。
灯台の周りを一回りし、福隆でフィニッシュ。
帰りはサポートカーに自転車を積んで台北市内へ戻りました。
朝から夕方まで、街中、郊外、山の中と海辺、自然や文化・歴史、台湾東エリアを様々な角度からバラエティー豊かに楽しんだRide Together。
世界中からTAIPEI CYCLEを目的に集まってきた人たち同士だから、共通の話題もたくさん。
各国の自転車事情も様々でどの人のお話もとても面白く、サムさんやサポートカーで同行してくれたガイドさんの通訳を交えながらライダー同士もいつの間にかすっかり打ち解けました。
一日を通して、台湾メイドのレンタルバイクで手ごたえ十分な坂に挑戦したり、奮闘している仲間をE-Bikeで応援したり。様々な脚力のライダーがそれぞれのペースで一緒にライドを楽しめる。
まさに「Ride Together」と言えるユニークなイベントは、台北サイクルと合わせて、ぜひ体験してみてほしいおススメのライドイベント。来年の開催も楽しみです!