台湾・澎湖3泊4日の旅 DAY3

澎湖の旅3日目は、島南部を中心としたルートへ。この日も快晴で、体感温度は30度を超える夏日だ。湿気がなくカラッとした風が吹き抜けるため、じりじりとした不快感はない。とはいえ直射日光は強烈で、日焼け止め対策は必須。ホテルのビュッフェでしっかりと朝食を済ませ、男3人の賑やかなライド後半が始まる。
馬公市街地を抜けて出発

3日目もホテル「澎湖湾行旅」からスタート。馬公港の近くに位置するこのホテルは、高台から大型客船が入港する様子を眺められる好立地だ。澎湖には台湾本島から船で訪れる観光客も多く、港周辺は朝から活気に満ちている。

前日のライドスタート直後、ドラゴンボールのパネルを前に大いに盛り上がった「篤行十村」。その脇をすり抜けるようにして、まずは馬公の中心地へとペダルを向ける。

篤行十村を走り抜けると、正面に城門「順承門」が姿を現す。清朝末期に築かれた「澎湖城」の遺構であり、かつて外敵から街を守っていた城壁の一部だ。

台湾で最後に建設された清朝の城郭都市という歴史的背景を持つ。こうした重厚な歴史遺産が、普通の道路にさらりと現れるのも澎湖ライドならではの面白さ。城門の下をくぐり、さらに先へと進む。

港周辺には大型ホテルやDFSが立ち並び、一大リゾートの雰囲気が漂う。しかし平日の市街地は拍子抜けするほど交通量が少ない。この平穏なルートを、マイペースに走り抜けていく。
澎湖遊客中心(ビジターセンター)

市街地を抜けて5kmほど走ったところで、「澎湖遊客中心(ビジターセンター)」に立ち寄る。貴重な給水スポットであり、島の自然や歴史をじっくりと学べる施設だ。

建物の脇には、台湾ではおなじみのメンテナンス工具一体型のメカニック台が設置されている。公共の場にこうした設備が当たり前のように整っているのを見るたび、台湾のサイクリスト受け入れ環境の充実ぶりに改めて感心させられる。

館内に入ると冷房が効いていて快適そのもの。出迎えてくれたのは、澎湖のマスコットキャラクター「WONWON(ワンワン)」。前日のライドで訪れた「漁翁島灯塔(灯台)」をモチーフにしたキャラクターで、なんとも愛嬌のある姿をしている。

館内には日本語を話せるスタッフが常駐しており、今回は日本人スタッフの松原さんに澎湖の歴史や魅力を丁寧に解説していただいた。言葉の壁を気にせず島のディープな背景を学べる環境が整っているのは非常にありがたい。

澎湖のグルメパネルや食品サンプルがズラリと並ぶ展示コーナーでは、「これ、昨日食べたやつだ!」と答え合わせを楽しみながら、まだ口にしていないローカルフードへの興味も一気に膨らんでいく。

カヌーや夜のイカ釣りなど、海関連のアクティビティ情報も充実。どれも今すぐ挑戦したくなる魅力的なものばかりで、澎湖が自転車だけでなく海のレジャーも遊び尽くしたくなる場所であることを改めて実感する。

また、毎年秋に開催される大型イベント「澎湖アイランドホッピング101Kサイクリングイベント(101 HOPPING BIKE)」の紹介も。

参加者1,400名規模を誇り、最長101kmの本格ロングコースから22kmのショートコースまで用意されている。このイベントを目標に澎湖遠征を計画してみるのも、ひとつの楽しみ方だ。

気づけば1時間ほど説明に聞き入ってしまっていた。前日に島の北側を走っていたこともあり、澎湖の成り立ちや名産物についての解説がすんなりと頭に入ってくる。水分補給がてら立ち寄るだけでも、澎湖をより深く理解し、好きになれる場所だ。ぜひ足を運んでみてほしい。
島南部のハイライト「風櫃洞」

水分補給を済ませ、少し賢くなった気分で施設をあとにする。次なる目的地は、島南部の定番スポット「風櫃洞(Fongguei Cave)」だ。ビジターセンターを出て南へ向かう道中、玄武岩がむき出しになった迫力ある地層が次々と現れる。

道中の寺院にガラス窓があることに気づき、サムさんから説明を受けた。台湾本島の寺院に窓はないのが一般的だが、澎湖は風速10〜15mが当たり前という超強風地帯。この窓は風対策として設けられたものだという。地域の気候に合わせた独特の建築様式に深く納得。

ビジターセンターから約10km走り、「風櫃洞(Fongguei Cave)」に到着。玄武岩の柱状節理が長年の波の浸食によって削られてできた海食洞(海の洞窟)だ。

激しい波が洞窟に流れ込むと、内部の空気が一気に圧縮され、岩の隙間から「フー、フー」と地鳴りのような特有の音が響き渡る。この音が昔の火起こし道具「鞴(ふいご)」に似ていることが名前の由来だという。

タイミングが合えば岩の隙間から潮が吹き上がる大迫力の噴水現象も見られるそうだが、今回は残念ながら見られなかった。しかし、すぐ横にある貝殻やUFOを思わせるユニークな真っ白の展望台から見渡すエメラルドグリーンの大海原は、それだけで十分に格別な眺めだ。
黄金色のビーチ「隘門沙灘」でランチ

「風櫃洞」をあとにして、ランチスポットの「隘門沙灘(Aimen Beach)」を目指す。島の南側は初日に走った北側に比べてさらに交通量が少なく、車やバイクを気にすることなく快適に走れる。

隘門沙灘に到着。ここはサンゴや貝殻の欠片でできた、澎湖最長の美しい黄金色のビーチだ。かつて荒廃したものの、地元の村長が執念で復活させた歴史を持つ。マリンスポーツの拠点としても非常に人気で、開放的な南国の空気が漂っている。

サンゴや貝殻の欠片でできた美しい黄金色の砂浜が広がり、開放的な南国の空気に包まれている。

ちなみに「隘門(あいもん)」とは、もともと海賊などの侵入を防ぐために集落の境界に設けられた「防衛用の関門(砦)」を意味する言葉だ。そんな物々しい歴史を持つ地名とは裏腹に、現在のビーチは観光地として賑わっている。

ランチは、ビーチの端にある「神秘南海湾景観餐庁」へ。観光地の人気レストランらしく、大型バスが到着すると大勢のツアー客で店内が一気に賑やかになる。せっかくなのでテラス席を選び、遠目に広がるビーチを眺めながらの食事を楽しんだ。

注文したのは、澎湖自慢のエビやイカがたっぷりと入った海鮮パスタ。少しとろみのついたソースが麺によく絡み、ピリッと効いた胡椒が全体の味を引き締めている。豊かな海の恵みと絶妙なスパイス感に、フォークを動かす手が止まらない。心地よい海風を感じながら味わう、まさにリゾートならではの贅沢な一皿だ。
奇跡の絶景「奎壁山摩西分海」

大満足のランチを終え、本日のメインスポット「奎壁山摩西分海(モーゼの海割り)」へと走り出す。島の東部に位置するこのエリアは、これまで以上に交通量が少ない。走っている間、車と1台もすれ違わなかったほどだ。

「奎壁山摩西分海」に到着。潮の干満によって海が割れ、対岸の島へと続く玄武岩の道が現れるトンボロ現象が見られる神秘的な場所だ。旧約聖書の「モーゼの海割り」に例えられるこの奇跡の絶景は、澎湖を訪れたら絶対に外せない名所として知られている。

この日の通行可能時間は10時から15時30分。到着したのは14時頃だったため、見事に海が割れた最高のタイミングに恵まれた。海の中にぽっかりと現れた神秘的な一本道を、多くの観光客が楽しそうに渡っている。

潮が満ちてしまう前に、実際にその道を歩いてみることにした。足元には波に削られた丸い石がゴロゴロと転がっており、クリートシューズではかなり歩きづらい。滑らないよう慎重にバランスを取りながら進む必要があるため、サイクリストがここを歩く際は足元への十分な注意が必要だ。

約300mの距離を歩ききり、たどり着いた反対側からは、さっきまでいた陸地をきれいに見渡せる。それと同時に、じわじわと潮が満ち始め、渡ってきたばかりの道幅がなんとなく狭まっていることにも気づく。自然の時間に急かされるような、独特の緊張感がある。

モーゼの体験を終え、あとはホテルへ戻る。台湾の道路は自転車の並走が可能なため、並んで自転車談義をしながら楽しく走ることができる。このストレスフリーで快適な環境は、日本のサイクリストからすると本当に羨ましい限りだ。
カフェ休憩と「重光媽祖銅像」

ホテルへの帰り道、ちょうど良いタイミングで良さげなカフェ「880咖啡西衛店」を見つけ、休憩がてら立ち寄ることにした。ペダルを漕いで火照った体を冷たいドリンクで潤しながら、先ほどまでの自転車談義の続きに再び花を咲かせる。

ホテルに戻る前に、近くにある「重光媽祖銅像」に寄り道してみることになった。銅像へと向かう道中、馬公のはずれに広がるのんびりとした街並みをすり抜けていく。

住宅街をすり抜けると、突如として巨大な銅像が現れた。この「重光媽祖銅像」は、前日に渡った「澎湖跨海大橋」側からも海を挟んでそびえ立っているのが見えており、密かに気になっていたスポットだ。

2022年10月に完成した「重光媽祖銅像」は、本体の高さ48メートル、台座を含めると総高66メートル(ビル22階相当)に達する世界最大の媽祖の青銅製立像だ。古くから航海の安全を守る「海の守護神」として信仰される女神・媽祖を象ったもので、澎湖の新たなランドマークとして多くの観光客が訪れる場所となっている。

澎湖の観光名所を一通り巡り終え、夕方の通勤ラッシュが始まる前に無事ホテルへと戻った。楽しかった時間が過ぎるのは早いもので、名残惜しいが充実した澎湖の旅もそろそろ終了だ。

この2日間のライドを通じて、島全体の大きさや位置関係、そして澎湖ならではののどかな雰囲気を肌でしっかりと堪能することができた。あまりの充実ぶりに、体感としては「すでに1週間くらい滞在しているのでは?」と錯覚してしまうほど、中身の詰まった濃厚な2日間のライドだった。
澎湖最後の夜は海鮮ディナー

ホテルに戻ってバイクパッキングを済ませ、シャワーでさっぱりと汗を流してから夕食へと繰り出す。澎湖最後の夜を締めくくるのは、港に隣接する海鮮レストラン「臨海楼海鮮料理」だ。店の前にはたくさんの水槽が並び、新鮮な活海鮮たちが並ぶ。

お店のおすすめだという大ぶりの生牡蠣には、贅沢にもイクラがトッピングされている。一口では収まらないほどのサイズ感で、濃厚な牡蠣の旨味とイクラの塩気が絶妙にマッチする。

台湾ビールを片手に、次々と運ばれてくる新鮮な海鮮料理に舌鼓を打つ。どれも箸が止まらないほどの美味しさで、自然と笑みがこぼれてしまう。これまでの旅の思い出を楽しく振り返りながら味わう、澎湖最後の夜にふさわしい最高の大満足ディナーとなった。
帰路へ。3日間の澎湖を振り返って

翌朝、ホテルをチェックアウト。手配しておいた大型のワンボックスタクシーに、パッキングを終えた輪行ケースやバッグを積み込んでいく。大きな荷物もスムーズに収まり、いよいよ帰路への準備が整った。

車載の様子はこのような感じだ。大型の輪行ケース(バッグ)3台分と、それぞれの荷物がすっぽりと綺麗に収まった。大人3人が乗っても窮屈さは一切なく、移動も快適そのもの。自転車旅での大荷物には、やはりこのサイズのワンボックスタクシーが非常に頼りになる。

タクシーで澎湖(ポンフー)空港に到着し、まずは国内線で台北へ。約1時間のフライトを経て台北に到着した後は、国際線へと乗り継いで羽田空港への帰路についた。心配だった輪行ケースもトラブルなく無事に日本まで運搬することができ、一安心。こうして、充実感に満ちた澎湖での自転車旅が幕を閉じた。

澎湖ライドを終えて改めて実感したのは、ここがサイクリストにとって理想的な環境だということ。地形は全体的にフラットで交通量も少なく、ストレスなく快適に走り続けられる。そして何より、どこで食べても鮮度抜群の海鮮料理が格別だ。定番の都市部とはまったく異なる、美しい海と絶品グルメが揃う贅沢なロケーション。多くの日本人にはまだ知られていない台湾の隠れた魅力が、この島には詰まっている。次なる自転車旅の目的地として、自信を持っておすすめしたい場所だ。
旅のしおり
| 8:30 | ホテルをスタート |
|---|---|
| 9:00 | 澎湖遊客中心で休憩&見学 |
| 10:15 | 澎湖遊客中心を出発 |
| 10:45 | 風櫃洞に到着 |
| 12:15 | 神秘南海湾景観餐庁でランチ |
| 14:00 | 奎壁山摩西分海で海を渡る |
| 15:45 | 880咖啡西衛店で休憩 |
| 16:15 | 重光媽祖銅像に立ち寄り |
| 16:45 | ホテルでゴール |
| 8:30 | ホテルを出発 *翌日(帰国日) |
| 9:40 | 澎湖空港を出発 |
| 10:45 | 台北に到着&乗り継ぎ |
| 16:20 | 台北出発(EVA Air) |
| 20:20 | 羽田空港に到着 |











