山陰地方1泊2日の旅 DAY1

ディスカバーライドとして初めて訪れる山陰地方。鳥取県と島根県、それぞれに魅力的なサイクリングロードが点在する中、限られた日数で両県を巡るルートを考えた結果、旅の起点に選んだのが鳥取県の米子鬼太郎空港だった。
前泊を含めると2泊3日の行程だが、実際にがっつり走るのは2日間。気持ちは“1泊2日の自転車旅”だ。米子鬼太郎空港を起点に、鳥取と島根を駆け抜ける山陰ライド。ワクワクが詰まったこの旅の記録を、これからたっぷりお届けする。
※本記事は中国地方知事会サイクリング観光振興実行委員会の提供を受けています。
空港から始まる、山陰ライド

翌朝からのライドに備え、前日のうちに東京から鳥取へ移動。羽田空港から約1時間半のフライトで到着すると、手荷物受取所のターンテーブルでは目玉おやじがお出迎え。「あ、来たな」と思わせる絶妙な歓迎ムードに、気分も一気に旅モードへ。

空港到着後は、自転車を組み立ててライドの準備。使い終えた輪行バッグは空港のコインロッカーへ預け、身軽な状態で走り出す。

空港内には無料で利用できる更衣室もあり、サイクルウェアへ着替えられるのがうれしい。

1泊分の着替えなどをバイクパッキングし、準備は万端。前泊する宿のある境港までは約6km。翌日のライドに備えてバイクの調子を確かめながら、夜道を自走で向かう。
前泊に最適な、サイクリスト歓迎の宿

今回前泊で利用したのは、境港駅近くの「ポートインさかいみなと」。
鳥取県の「サイクリストに優しい宿」に認定されており、自転車は建物内で保管可能。翌日のライドに向けて、安心して身体とバイクを休ませられる宿だ。

洋室にはユニットバスも完備されており、素泊まりで5,600円からと非常にリーズナブル。前泊やサイクリング旅の拠点として、気軽に利用しやすい宿。
鬼太郎の街・境港駅からスタート

翌朝、チェックアウトを済ませてスタート地点となる境港駅へ。ここは『ゲゲゲの鬼太郎』の作者・水木しげるの故郷だけあって、駅前はすでに妖怪ワールド全開。鬼太郎をはじめとしたキャラクターのイラストや銅像がずらりと並び、走り出す前から気分は完全に物語の中。

タイミングよく鬼太郎列車が到着。車両だけでなく、ホームのベンチまで鬼太郎のキャラクター仕様で、細部まで世界観が徹底されている。駅前だけでも見るものが多くてなかなか走り出せない。

雨予報だったが、ふたを開けてみればスタート時はまさかの晴れ。12月らしく気温は低いものの、青空が広がっていれば文句なしだ。久しぶりのディスカバーライドということもあり、走り出す前から2人のテンションは右肩上がり。「今日はイケる気がする」と、根拠のない自信で盛り上がる。
妖怪神社で安全祈願

走り出してまずは、水木しげるロードをポタリング。妖怪たちが並ぶ通りをゆっくり進みながら旅の始まりを楽しむ。2日間の安全祈願も兼ねて「妖怪神社」に立ち寄る。

ちなみに夜の水木しげるロードは、照明などの細かな演出が施され、昼間とは違った妖怪の世界観が漂う。時間に余裕があれば、ぜひ夜にも訪れてみてほしいおすすめスポットだ。
HATONOVA 三光丸 境港で朝ごはん

安全祈願も終えたところで、境港で朝7時から営業している「HATONOVA 三光丸 境港」に立ち寄り、朝食タイム。店内には海鮮の炉端焼きや寿司店が並び、港町らしい活気のある内装となっていた。土日は観光客で満席になるほどの人気店。

朝食メニューはどれも魅力的で、なかなか決めきれない。けんたさんがチョイスしたのは「朝の海鮮漬け丼」。ごはんと味噌汁付きで、しかもライスと味噌汁がおかわり無料。走る前のエネルギー補給にぴったりな、コスパ抜群の一杯だ。

ゴロゴロとした魚の切り身がたっぷりとごはんにのった一杯。境港で揚がった魚だけに、鮮度は申し分ない。さらに最後はお茶漬けにして味変も楽しめるという贅沢さ。朝から少しやりすぎかと思うほど、満足度の高い朝ごはんだ。
鳥取うみなみロードの始まり

最高の朝食を味わい、いよいよ本格的にライド開始。弓ヶ浜海岸沿いは道幅が広く、とても走りやすい。場所によっては海岸ぎりぎりを走る区間もあり、潮風を感じながら爽快に走ることができる。

鳥取うみなみロードは、複数の観光地や生活道路をつなぎ合わせた全長152kmのサイクリングルート。道中には矢羽根や案内標識が適度に設置されており、初めてでも迷わず安心して走れる。本日はその約半分となる80kmを走り、ゴールの湯梨浜町を目指す。

旧道を走っていると、ところどころで日本海が顔をのぞかせる。冬の日本海らしく波は高めだが、強い追い風を背中に受け、ハイペースで進んでいく。
御厨 Mikuriでランチ

スタートから約40km。けんたさん念願の「御厨 Mikuri」に到着。趣ある古民家の佇まいに、これから味わう食事への期待も自然と高まっていく。

こちらの店舗は鳥取県の「サイクルカフェ」に登録されており、敷地内にはバイクラックを完備。ラック以外にも空気入れや自転車用工具も借りられるそう。一見すると少し敷居が高そうな店構えだが、ラックを見つけた瞬間に気持ちがふっと緩むのは、サイクリストあるあるかもしれない。

約100年以上前に建てられた酒屋をリノベーション。明治時代の面影を残す趣ある建物に、モダンなテーブルや椅子を配した空間は、ブライダルにも利用されるほど洗練された雰囲気が漂っている。

ランチは1日限定30食。「出汁マイスター」の資格を持つシェフが手がける、出汁にこだわったフレンチと和食の融合が楽しめる。11時30分の開店と同時に店内は満席となる人気ぶり。

けんたさんも言葉少なに、もくもくと箸を進める。味付けは控えめながら、出汁の旨みがしっかりと効いた料理ばかりで、ひと口ごとに満足感が広がる。
雪へと変わる空の下、ライド再スタート

鳥取うみなみロードを、強い西風を背に受けながらさらに東へ進む。この日は寒波が襲来し、午後にかけて気温は一気に低下。サイクルコンピューターの温度計は3度を示していた。

ついに雨は雪へと変わり、吹雪の中でのライドに突入。コンディションはなかなか過酷なのに、なぜか雨より雪のほうがテンションが上がる不思議。気づけば「これはこれで楽しいな?」という謎のハイテンション状態に突入していた。
カラコロと聞こえる鳴り石の浜

観光スポット「鳴り石の浜」に立ち寄る。ここは、波に揺られた石同士がぶつかり合い、琴のような音を奏でることで知られる浜。打ち合わされることで石が少しずつ丸くなっていく。

この日は強風で波音が大きく、石の音を聞くことはできなかったが、浜に落ちている石がすべて角のない丸い形をしているのがとても印象的だった。
暖を求めて立ち寄ったワク珈琲

ルートの中間地点にあたる琴浦町を走っていると、雪はだんだん本気モードに。そんな中、ぽつんと現れた温かな光の喫茶店を発見する。これはもう入るしかないと、吸い寄せられるように「ワク珈琲」へ。実はこのお店もサイクルカフェに登録されており、冷えきった身体とテンションを、ここで一度リセットすることにした。

ご夫婦で営むコーヒー店。店内にはやさしいコーヒーの香りが広がり、落ち着いた空間が心地いい。ホットコーヒーで体を温めながら、雪が弱まるのを待ちつつ、しばしここで休ませてもらった。

雪、みぞれ、雨が入り混じる天気の中、さらに東へ。厳しい状況でも強い西風に背中を押され、ペダルを回し続けた。正直つらいが、これも自転車旅の醍醐味?
老舗の甘味でひと息「ふろしきまんじゅう」

けんたさんが事前にチェックしていて気になっていた、まんじゅう店「ふろしきまんじゅう」に立ち寄る。創業100年以上を誇る老舗和菓子店で、素朴な甘さの手作りまんじゅうが長く愛され続けている名物だ。

昔ながらの製法とやさしい甘さが特徴。味に派手さはないが、つい何個でも手が伸びてしまうシンプルなお饅頭。素朴な甘さが口に広がり、緑茶との相性も抜群だ。走りの合間にほっとひと息つける、やさしい味わい。

おまんじゅうと緑茶でしっかりと温まったあとは、名探偵コナンの聖地として知られる「北栄町」を目指す。
名探偵の街を象徴する「コナン大橋」

北栄町の中心に位置する「コナン大橋」に到着。橋の欄干には、『名探偵コナン』の作者・青山剛昌先生の作品をモチーフにしたプレートが並び、ファンにはたまらないスポット。

橋を渡ると「コナンの家 米花商店街」に到着。名探偵コナンの世界観を再現した施設で、作品展示や限定グッズも充実。主人公・工藤新一の家のインターホンも実際に押して楽しめる。

本当なら街全体を巡り、銅像などを写真に収めたかったところだが、あいにくの天気。今回はオブジェと一緒に記念撮影をして、気持ちを切り替え、ゴールとなる湯梨浜町を目指して走り出す。
80kmを走り湯梨浜町に到着

本日のゴール、湯梨浜町の温泉宿「望湖楼(ボウコロウ)」に到着。こちらも「サイクリストに優しい宿」に登録されている。湯梨浜町にある「はわい温泉」は、東郷湖を挟んで西に泊、東に羽合(はわい)が位置することから名付けられたもの。南国の名前とは裏腹に、湖畔にたたずむ静かな温泉地。

今回予約したのは角部屋。窓いっぱいに広がる東郷湖の景色を独り占めできる、なんとも贅沢な空間。過酷なコンディションでのライドだったが、この景色と居心地の良さが、たまった疲れをふっと吹き飛ばしてくれた。

部屋の窓からは、望湖楼名物の露天風呂を見下ろすことができる。なんと湯船は湖の上に設けられており、水面と一体になるような特別な景色が広がる。名探偵コナン第69巻の舞台としても描かれ、ファンにとってはたまらない宿だ。
雪の日本海を越えて、温泉とカニで締めくくる1日目

この日は鳥取うみなみロードの約半分、70kmを走破。雪やみぞれが混じるなかなかハードな天候だったが、そのぶん日本海らしい表情をたっぷり味わえる一日となった。過酷ささえも、あとで笑える思い出になるのが自転車旅の不思議なところだ。走り終えたあとは露天風呂で冷えきった身体をしっかりと温め、冬の日本海で獲れたカニの炙りを堪能。翌日はホテル最寄りの特急停車駅・倉吉駅から輪行で米子駅へ。気持ちも身体もリセットして、島根県側の旅が始まる。
©水木プロダクション
©青山剛昌/小学館
旅のしおり
| 15:30 | 羽田空港 ※前日移動 |
|---|---|
| 17:00 | 米子鬼太郎空港に到着 |
| 18:00 | 空港から境港まで自走 |
| 18:30 | 境港の「ポートインさかいみなと」に前泊 |
| 07:30 | 境港駅からスタート※ライド1日目 |
| 08:15 | 三光丸で朝食 |
| 11:30 | Mikuriでランチ |
| 13:30 | 鳴り石の浜を見学 |
| 14:00 | ワク珈琲で休憩 |
| 14:30 | ふろしきまんじゅうに立ち寄り |
| 15:30 | コナン通りを見学 |
| 17:00 | 湯梨浜町の望湖楼に到着 |








